「推進力」「求心力」「遠心力」が変革を後押しする

 パーパスには3つの効用がある(図表2)。

 1点目として、長期的な方向性を指し、企業全体をそちらの方向へ進める「推進力」となりうることだ。不確実性が高い時代においても、足元の環境変化に迅速かつ柔軟に対応しつつみずからを変革し、持続的な成長を目指すなかで、パーパスはそれらを推し進める推進力となる。

 2点目は「求心力」である。従業員をはじめとしたさまざまなステークホルダーからの信頼獲得の源泉にできるということだ。

 そして3点目の効用として、「遠心力」がある。一企業の枠を超えて、エコシステムを形成していくための発信力や協力を実現するための軸となるということだ。

 資本市場や消費者・従業員の変化は、どの企業にも共通して影響を及ぼす因子である。それらに加えて、企業自身が変革しようとする時、パーパスの「推進力」「求心力」「遠心力」が変革を後押しする。

 書籍『パワー・オブ・トラスト』では、この3つの効用をさらに詳しく解説するとともに、実際のパーパス策定に当たってどのような点に留意すべきかを紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。