コロナ禍でリモートワークを行う人が増えましたが、仕事のスイッチが入らないのは、机周りなどの作業スペースの色、周りのカーテンやブラインドの色、デスクトップの色、文房具の色が関係している可能性があります。

 例えば、調和の取れた明るい色彩の部屋で過ごせば、明るく楽しい気分で過ごせますが、暗く乱雑な部屋では気持ちも滅入りがちになります。

 それでは明るい色ならすべて問題ないのかといえば、じつは違います。

 たとえばインテリアで定番の「シンプルな白」。しかし、白だけでは思わぬ副作用を引き起こすのです。

 なぜなら、白は明るく眩し過ぎるため、人を疲れさせる色だからです。人間が落ち着く色は反射率が60%以下の色ですが、白は90%前後も光を反射するのです。眩しさは視神経に負担を与え、頭痛を引き起こす原因にもなり、不安やイライラなどのストレスを生み出します。

 また、白がもたらす清潔感は「汚してはならない」という感覚を与え、常に緊張感をもたらします。白に囲まれていると、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が多く分泌され、人によっては無気力になったり警戒心が強くなったり、ストイックになるケースもあります。白だらけの空間は、肉体的にも精神的にもマイナスになるのです。

 白を使いたいのであれば、「オフホワイト」「アイボリー」などわずかに色みを含んだ明る過ぎない色を選ぶのが、健康を損なわずに済む方法です。

 おもしろいデータもあります。

 トルコのビルケント大学とギレスン大学が、2011年に報告している、22歳~65歳の60名を対象とした調査では、無彩色の部屋は常識的で整っていると感じられる一方、有彩色の空間に比べ、快適性と満足度が低いことがわかりました。

 さらに、双方の部屋で課題をこなす実験では、かかった時間が無彩色の部屋で平均4.8分、有彩色の部屋では4.3分でした。解答の正確さも無彩色の部屋のほうが低かったことが確認されています(※1)。

 つまり、「なんとなく」集中できない、疲れやすい…というのはじつは色のせい、だったりするのです。