それだけではありません。「柔らかさや硬さの感覚」「匂いの感じ方」「音の聞こえ方」など、様々な感覚に強く関与しています。そしてそれらの受け止め方は健康にも影響を及ぼしているのです。

 光によって生み出される色は、「覚醒」や「沈静」という反応はもちろん、「認知」や「思考」「判断」「行動」に大きく関わり、「運動能力」「集中力」「睡眠時間」さらには「時間の感覚」まで、あらゆる精神活動を左右します。

“色”が、心と身体に影響する「メカニズム」

 もともと色は生きる上で大切なものでした。お腹が空いても、目の前にあるものが新鮮であるか、熟しているか、毒がないかなどの「食べ物の識別」や「危険の察知」など、重要な情報を読み取ることができるからです。

 人間のDNAには、色に関するたくさんの情報が蓄積されています。色は脳にはたらきかけて、特定の心理状態を作り出し、そして身体の反応を引き起こすのです。

 実際に色がどのように脳を刺激するのか、そのメカニズムをたどりましょう。

 色の刺激が脳に伝わるルートは、主に「視覚経路」と「非視覚経路」があります。

 視覚経路は、いわば、「信号が赤」「海が青い」など、色を知覚して認識する経路です。

 眼に届いた光が網膜で電気信号に変換され、視神経を通って大脳の「視覚野」に伝わり、りんごや猫、雲など「見た物(色、形、質感など)が認識」されます。

 非視覚経路は、色が無意識に脳を刺激する経路で、視神経を通過した後、「大脳辺縁系」「下垂体」「松果体」などに刺激を伝えます。

 つまり、色は無意識のうちにこれらの器官を刺激するため、私達は知らず知らずのうちに、心と身体にその影響を受けていることになります。このように色は、脳の重要な各部分を刺激し、身体の機能のコントロールに関わっているのです。

インテリアでやりがちな、残念な色使い

 そのため、たとえばインテリアなども色が重要となってきます。

 あなたの家庭のリビングや寝室、書斎はどのような色が多いでしょうか。また、職場にはどのような色が使われているでしょうか。