全国2700社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。
ちゃんと「数字」で振り返っているか?
優秀な人は、「数字」に強いです。会話や頭の中でも「数字」を使って考えることができます。
ただ、いきなり数字のある会話ができるようになるわけではないでしょう。
そこで、まずやってみてほしいのが、「自分の1日の行動を数字で考えること」です。
多くのビジネスパーソンは、半年や1年間で目標を設定していると思います。
そのゴールを漠然と目指している状態は、夏休みの宿題を抱えて「そのうちなんとかなるだろう」と思っている状態と一緒です。
中だるみしてしまい、後から焦って頑張るようなタイプの人を生み出してしまいます。
無意味な「ほうれんそう」は、やめにしよう
ここで大事なことは、大きな目標を「1日ごと」に分解することです。
これは、新入社員や若いプレーヤーであれば、上司によって管理されているかもしれません。
日報を書いたり、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」をする人もいるでしょう。
ちゃんと意図を理解した上でそれらに取り組んでいるなら、特に問題はありません。
しかし、多くの場合は、形骸化して仕方なく惰性でやっていることでしょう。
「言われたからテキトーに日報を書いています」
「なあなあのほうれんそうをしています」
そういう人が多いのではないでしょうか。
意図もわからずに、なんとなくやらされ感や義務感でやっていると、どんどん言い訳が増えます。
ごまかすのが当たり前になるはずです。
そうならないためには、1日ごとの数値化を「自分のため」にやるのです。
自分がどれだけやったのかを嘘偽りなく表すこと。まさに、心を鬼にできるかどうかが試されます。
言い訳の多い
「中堅社員」の共通点
日報やほうれんそうでテキトーなことを書いてその場を逃れるのか、ちゃんと数字と向き合って報告するのか。
これによる「差」は、年を重ねるごとに大きく開いていきます。テキトーな報告をしている人は、次第に次のような発言を平気でするようになります。
「結果は出ていませんが、こんなに頑張っています」
「数字以外の部分で貢献したので評価してください」
こうやって自分の問題点から目を逸らす行為は、「自己欺瞞」と言います。
この状態になってしまうと、なかなか直りません。
「言い逃れ」するのはラクだから
できていないことに向き合うのではなく、正当化して周囲に問題を押し付けるような考え方をしてしまうのです。そのほうがラクだからです。
今の日本の会社組織は、このタイプの中堅社員を一定数、生み出してしまう構造があります。
それを何としても食い止めたいなと私は考えているのですが、若ければ若いほど、まだ取り返せるチャンスがあるので、この記事を読んでいるあなたは、そうならないことを願っています。
自分の足りない部分を考えることをしなくなり、すべて他人や上司、会社のせいにして考えてしまうようなら、気をつけてください。
そうならないために、自分の仕事の「数値化」が必要なのです。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヶ月でマザーズ上場を果たす。2022年3月現在で、約2700社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、29万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。