過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。

仕事ができる人ほど「学校のテスト感覚」に注意が必要な理由Photo:Adobe Stock

「学校のテスト感覚」で仕事をしている人が多い

世の中は想像以上に複雑で、予測できないこと、管理できないものばかりです。

自分以外の人にもすべて思惑があり、複雑に動いていて、しかも膨大な人数がいます。

このような唯一解や絶対解がない世界で生きているにもかかわらず、問題を無理やり簡素化、簡略化しているからこそ、正解が出せるわけです。

ほとんどの学校のテストは「問題をつくる人が決めた答え」を当てていく作業なので、正解が決まっています。

そのため、日本人は子どものころから決まった答えがある問題について考えたり、ただ物事を覚えたりするだけの勉強法が大半です。

ところが、世の中はもはやそれでは通用しません。

また、情報化社会によってインターネットやSNSが浸透し、情報伝達が速くなりました。より良いやり方が模倣され、それが拡散するスピードも極めて速いので、すぐに価値を出せなくなったり、差別化が図れなくなったりしてしまいます。

正解が、正解ではなくなるスピードが、加速度的に速くなってきているのです。

価値や差別化は需給バランスで決まります。

果実の大きさに対して何人が食べたかで決まるルールのゲームです。より多くの人が食べに来ると、正解という果実はなくなって当然です。遅れてきた人は食べられない。これは経済の世界で必ず起きていることです。

これからの世の中は、正解を出すことに頭を使うのではなく、自分の答えを考えるために頭を使うことが求められます。

世の中では生きる力、自立する力が大事になってくるので、正解を求める力だけでは自立できなくなってしまいます。

つまり、自分の答えを正解にする力が強い人、問いを発見する力が強い人、誰も思いつかないような他の方法論を考える力の強い人が生き残る世界です。

実際、すでにそういう世界に入ってきていると感じることが年々増えています。

仕事も早く、精度も高く、膨大な量もやる。

しかし、仕事はできるのに、問いを立てられない人が増えているのです。

自分で問いを立てることができなければ、「何をやったらいいですか?」と相手に依存する指示待ち人間になってしまう。

自分自身で問題解決ができないと、問題を発見し、解決できる人に従うしかなくなってしまいます。

そのような風潮には、危うさを感じざるを得ません。

問題発見と問題解決能力は、生まれながらにして持っている地頭などの能力によるものと誤解している人が多いようです。

しかし、それはまったくのでたらめです。後天的な努力でできるようになるものです。