現代自はシェア獲得路線を修正
“ヒョンデ”ブランドの浸透へ

 現代自の日本市場再上陸作戦は、これまでのような市場シェアを獲得する戦略から、EVという実験的な販売モデルを世界に広げ、“ヒョンデ”ブランドを少しでも国内に浸透させる戦略に転換したとみることができるだろう。

 現代自は乗用車の再上陸に当たって「現代自動車ジャパン」の社名を「ヒョンデ・モビリティ・ジャパン」に変更し、「ゲンダイ」ないし「ヒュンダイ」から「ヒョンデ」ブランドに統一することにしている。

 また、オンライン販売に特化するものの、全国乗用車サービスネットワークを構築し、そのサービスネットワークには三菱自動車の各地域ディーラーが参画することとなっている。

 元々、現代自とその傘下である起亜自ともに日本車との縁が深い。現代自は、かつて三菱自動車と技術提携(三菱自が現代自に技術供与)していた関係にある。また、起亜自は、米フォード傘下としてマツダと技術提携(起亜がマツダ・フェスティバを生産)していたこともある。

 いずれにしても、韓国の「ヒョンデ」ブランドのBEVとFCEVが日本のユーザーにどこまで受け入れられるかは未知数だ。日本のBEV販売は昨年21年で約2万台にとどまっている小さい市場である。また、22年は「BEV元年」ともいわれるほど、トヨタ・日産・スバル・三菱自などの国内競合メーカーが相次いでBEVを発売する予定の年でもある。

 補助金を含めた実質の低価格戦略や充電等のインフラやサービス網の充実など、BEVの勝敗を分けるポイントは多数あるが、国産・輸入の新たな激戦の様相の中で再上陸、“ヒョンデ”の成算はいかほどのものであろうか。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)