総予測2022#商社Photo:Artinun Prekmoung/EyeEm/gettyimages

総合商社は2022年3月期、史上最高益をうかがう好調ぶりだ。その一方で、迫り来る脱炭素の荒波をどう乗り越えるかが問われている。特に資源エネルギー関連の資産が大きい三菱商事と三井物産の脱炭素戦略を読み解くと、ある共通点が浮かび上がった。特集『総予測2022』の本稿では、彼らが描く「2段階戦略」を解明する。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

資源高を追い風に史上最高益を狙う
業績好調の陰で迫り来る脱炭素の試練

 総合商社の2022年3月期は、史上空前の好業績に沸きそうだ。五大商社はいずれも中間決算として過去最高の純利益を確保し、通期では伊藤忠商事、三井物産、三菱商事が業界初の7000億円台の目標を掲げる。

 新型コロナウイルスの感染拡大で商流が途絶えた前期から一転し、世界的な需要が急回復した。21年3月期に約1兆円だった5社合計の純利益は今期、3倍に膨れ上がる見通しだ。

 ところが、そんな絶好調ぶりにもかかわらず、株価はパッとしない。各社が通期純利益見通しの大幅な上振れを公表した上半期決算の翌日、株価は軒並み下落した。市場の評価がいまひとつなのは、「利益の大半を占める資源価格の高騰は長続きしない」(アナリスト)とみられている側面もある。

 また総合商社が権益を持つ化石燃料関連資産は温室効果ガス(GHG)排出量が多く、脱炭素に消極的と見られがちだ。新興国では商社が手掛ける石炭火力発電の操業開始が22年以降も相次ぐ。

「こそこそせずに、いかなるご批判を浴びようとも、はっきり言ってしまった方が分かりやすい」

 そうした市場の疑念を意識してか、ダイヤモンド編集部が12月初旬に行った取材にそう言い切ったのが、三菱商事の垣内威彦社長だ。垣内社長が批判覚悟で言い切った“重大表明”とは一体何か。