アベノミクス以降続けられている異次元の金融緩和により、担保の取れる不動産に資金が流れ、土地価格が高騰した。それだけでなく、東日本大震災の復興目的の土木事業特需があり、さらに自民党政権の復活以降公共事業も増え、建築単価が急騰した。

 リストラを繰り返してきた建設業の現場は人手不足に悩み、政府はこうした業種に絞り込んだ外国人労働者の受け入れを決めたものの、コロナ禍で実現には程遠い状況にある。そこにコロナ禍でマイホームを持ちたい人が増えた。これを「コロナ特需」と呼んでいるが、これが需給バランスをひっ迫させた。

 不動産では、需給が緩んでも売り主が弱気にならなければ価格は下がらないが、需給がひっ迫すると値上がりしやすい傾向がある。

 新築マンション価格の高騰は、金融緩和が始まった2年間の急騰と、その後の緩やかに上がる時期を経て、コロナ特需で再度急騰した。たとえコロナ特需が終わっても、この傾向は当面続きそうだ。なぜなら、金融緩和が続きそうだからだ。

 金融緩和はインフレターゲット2%まで続けると明言されている。コストプッシュインフレでその2%になったとしても、想定していたインフレとは違う。そのため、確実に金融が引き締められるとはいえないだろう。こうなると、不動産価格は原材料費や設備費用の高騰で値上がり圧力にさらされる。当面、価格が下がる理由は何一つないことになる。