あつこおねえさんにのしかかるプレッシャーと
それを糧として成長していく姿

 現在の歌と体操のおにいさん・おねえさん4人の中で、一番の古株は2016年から出演しているあつこおねえさんである。彼女が就任当時のうたのおにいさんは、ママたちから圧倒的な人気を誇ったイケメン・横山だいすけおにいさんであり、彼の横で緊張しながらもがんばろうとするあつこおねえさんの姿が、過去収録分の放送を見るとうかがえる。
 
 また、先代・うたのおねえさんは、これも人気の高かった三谷たくみおねえさんである。この人は変顔もよかったが、個人的に日本で指折りの歌のうまさと見ていて、ピッチ・リズム・個性(表現力)がものすごく高い水準にあった。寄り添い、包み込み、一緒に遊んでくれるような表情の歌声は天使のようであり、筆者は既存の“歌姫”という表現に対抗してたくみおねえさんを“歌天使”と呼んでいた。
 
 だいすけおにいさんのスター性と偉大な先代たくみおねえさんの存在があったので、あつこおねえさんにかかる重圧は尋常でなかったはずである。
 
 だいすけおにいさんの後任として、あつこおねえさんの1年後に花田ゆういちろうおにいさんが入ってきた。だから、あつこおねえさんと彼はやや先輩でありつつ、就任時期も近い同期のような関係であったろうか。ゆういちろうおにいさん加入後、あつこおねえさんに“うたのおねえさん”として、だんだんと頼りがいがある風格が備わってきた。
 
 加えて、番組もだいぶ楽しい雰囲気になってきた(これは先代メンバーの組み合わせと比べて、ということでなく、当代メンバーが出演者として成長したから、という意味である)。あつこおねえさんの笑いにかける情熱が前述の通りなので、その方向性が当代メンバーにだいぶ色濃く影響していたように思う。
 
 とにかく4人が楽しそうに演じてくれるのが見ている側としては非常に楽しく、心地よく、この4人こそ黄金期で最強の組み合わせであると思うようになった。もっとも、これは筆者が我が子の年齢の関係上、この4人の期間にもっともどっぷり『おかあさんといっしょ』を見てきたからそう思うようになったというだけのはずだ。他の時代に同番組を見てきたパパ・ママはおそらく「当時のメンバーこそ黄金期で最強」と考えているに違いない。
 
 番組内の人形劇コーナー『ガラピコぷ~』も今期で終了となるらしい。このコーナーも、最初に見た時は「あまりかわいくないロボットもいるし、感情移入できなさそう」と感じたものだったが、今では主要キャラクターのチョロミー・ムームー・ガラピコの3人をこの上なくかわいく、いとおしく思っている。彼らは非常に思いやりにあふれた子たちで、彼らが何か優しさを見せるたびにおじさんは涙ぐんでおり、このコーナーが終わってしまうなんて胸が張り裂けそうである。永久に続くものではないのだから終わりが来るのも仕方ない、と自分に言い聞かせている。
 
 来期からは新しい人形劇『ファンターネ!』が始まるそうだ。舞台設定やキャラクターなどはすでに公開されており、よくわからない落花生のような生き物もいるが(実際はひょうたんとのこと)、きっと見るうちに愛するようになるに違いない。
 
 22代目となる次のうたのおねえさんは、ながたまやさんが務める。新しいメンバーでスタートする番組も楽しみであるが、今しばらくは、あつこおねえさんロスを十分に味わい、今月いっぱいは目を皿にして、この目と胸にあつこおねえさんの輝かしき姿を焼き付けたいと思う。