ある研究によれば、人間の脳は、もうかったときの喜びよりも損したときの悲しみのほうが2倍大きく感じるようにできているのだという。しかも、もうけや損が2倍に膨らんでも、喜びや悲しみは2倍より小さく感じるようにできているそうだ。

 この研究結果に従えば、もうかると「値下がりする前に売ってしまいたい。値下がりすると大変悲しいし、さらに値上がりして利益が2倍になっても、2倍うれしいわけではないのだから」と考えることになる。

大もうけを狙うなら「普通と違うマインド」で

 3倍まで待ったことを評価できるのは、一般的な株式投資での話だ。大もうけを狙う宝くじ的投資であれば、話は別である。通常の投資は、リスクとリターンの兼ね合いを考えながら行うべきだが、宝くじ的な投資は、投資額を全額失うことを覚悟した上でリターンを考えなければならない。

 宝くじであれば、買ったときに投じた資金を全額失うことを当初から覚悟している。途中で「やっぱり買わない」という選択もできないので、問題は小さい。

 しかし、株式投資の場合、大化けしそうな銘柄を宝くじ感覚で買っても、途中で「やっぱり投資額を失うのは嫌だし、せっかく3倍に値上がりしたのだから」と売りたくなるのが人間というものだ。

 そうした心理に立ち向かうには、相当な覚悟が必要だ。例えば、恐妻家であれば、買った株券を奥方に預けてしまう、という選択肢もあるだろう。そうでなくても「自分は○○の株を買った。30年後に大金持ちになったらおごってやる」と周囲に宣言するという手もある。

 周囲が面白がって、毎日のように「株価は上がっているか?」と聞いてくれば、恥ずかしくて「途中で売ってしまった」などとはいえない。ダイエットも金もうけも、成功の秘訣(ひけつ)は他人に自分を見張ってもらうことなのだ。