量り売りが定着すると
見込まれる2つの理由

 とはいえ、日本ではまだ、そこまで環境問題に対して高い関心を持つ人は多くないように感じる。だがノイハウス氏は「確かに現状、日本での環境への意識は低いが、それも時間が解決するはず」と予測する。

「たとえば、ドイツではほんの20年前まで『環境への負荷が少ないオーガニック商品を選ぶ=意識高い系』という偏見がありましたが、今では、価格の違いもほぼなく、当たり前にオーガニックを選ぶ人が増加しています。それと同じで、今後環境問題への社会的意識が高まるにつれ、『値段もあまり変わらず環境にも優しいなら、当然量り売りを選ぶ』くらいの感覚が自然と広がるのではないかと思います」

 ノイハウス氏が今後の量り売りの定着を見込むのには、2つの理由がある。

「一つは、現状でも少なからず『環境負荷が少ない商品を手に取りたい』というニーズが生まれていることです。現在、斗々屋の直売店は京都と東京・国分寺だけですが、わざわざ遠方から足を運ぶ人がいたり、地方からも『遠くて行けないけど、ぜひいつか行きたい』といった思いが日々届いています」

 もう一つの理由は、若者の環境問題への関心の高まりだという。

「教育現場でSDGsについて取り上げられていることも影響し、近年、若い人からの関心が大きくなっている手応えがあります。実際、中学生くらいの方が、家族を連れて斗々屋の店舗を訪れる姿も目にしますね。さらに、インスタグラムを見ると『#ゼロウェイスト』の投稿が10万件以上。これも数年前はほんの数十件しかなかったのに、です。若者が集うSNSでこれだけのムーブメントが起きているのも、これからの時代は、ますます環境に配慮した店舗が求められることを裏付けていると思います」

 将来的には、バルクショップを誰もが日常的に通う店舗の一つになるくらいに広めたい、と話すノイハウス氏。環境を意識する人が増えるこれからの時代、量り売りのニーズは高まっていくのかもしれない。