2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻。各SNSでは、現地の住民が撮影した攻撃被害の映像が投稿されている。戦地の情報がリアルタイムで受け取れる今、SNSは戦争にどのような影響をもたらしているのか。フェイクニュースの危険性も含め、ソーシャルメディア事情に詳しいジャーナリストで、桜美林大学リベラルアーツ学群教授の平和博氏に聞いた。(清談社 田中慧)
アラブの春から広がった
有事におけるSNSでの情報拡散
現在、FacebookやTikTokなどのSNSでは、戦地の様子を捉えた映像が数多く拡散されている。街中で起きた爆撃や長蛇の列をつくるガソリンスタンド、ロシア兵とウクライナ住民の言い争いなど、SNSに流れる生々しい映像を目にし、衝撃を受けた人は多いだろう。
「とはいえ、SNSがこうした社会変革や紛争のときに使われるのは、今回が初めてではありません。2010年から2011年にかけての中東の民主化運動『アラブの春』では、TwitterやFacebookといったSNSが、民主化勢力の集会の呼びかけなどに使用され、『ソーシャルメディア革命』とも呼ばれました。これを一つのきっかけに、社会的大事件でSNSが情報共有に有効なツールだという認識が、世界に広がりました」
こう解説するのは、ソーシャルメディア事情に詳しいジャーナリストで、桜美林大学リベラルアーツ学群教授の平和博氏だ。