Zホールディングスの川邊健太郎社長とLINEの出澤剛社長Zホールディングスの川邊健太郎社長(左)とLINEの出澤剛社長(右)。ZHDの共同CEOを兼任する2人を直撃した Photo by Masato Kato

Zホールディングス(ZHD)とLINEが統合して1年。ヤフーとLINEのサービス連携の成果が、徐々に見えてきた。ダイヤモンド編集部は、ZHDの共同最高経営責任者(Co-CEO)を兼務する川邊健太郎社長とLINEの出澤剛社長を直撃。コロナ禍で拡大するeコマース(EC、電子商取引)で大目標とする「打倒!アマゾンジャパン、楽天グループ」の課題を聞いた。

Yahoo!×LINEの統合シナジー
“ショッピング”が重要課題に

――Zホールディングス(ZHD)とLINEの統合から1年。ヤフーとLINEのサービス統合については、昨年3月の統合時から、(韓国ネイバー出身で“LINEの生みの親”である)慎ジュンホ氏を中心とする「プロダクト委員会」を新設して議論していると思いますが、その進捗(しんちょく)状況を教えてください。

川邊健太郎共同CEO 毎週木曜日に開催するプロダクト委員会では、いまだに1年前のテンションを保って侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をしています。「ナンバーワンになる」と掲げている分野におけるサービス連携のため、投資をどうするか、人材をどうするか、そして、連携後の進捗はどうなのかという連携の話が一つ。もう一つについては、この業界は新しいことがどんどん湧き出てくるので、新たなインターネットサービスの「Web3.0(ウェブスリー)」についての具体的なサービスの議論も増えてきました。

――サービス連携の成果は出てきているのでしょうか。

川邊 やはりシナジー面ではeコマース(EC)の議論が多く、ECの屋台骨である「ヤフーショッピング」をいかに大きくするかが重要課題です。

 統合シナジーで最もインパクトがあるのは「(注文から最短15分で品物を届ける)ヤフーマート」が良い例でしょう。クイックコマースはソフトバンク・ビジョン・ファンドも海外で投資している注目分野で、われわれZHDとしても「やるべきだ」という議論がまさにプロダクト委員会でありました。普通ならイチから始めなければなりませんが、ZHDでは、ヤフー、アスクル、そして(荷物を顧客に届ける)ラスト・ワン・マイルの分野で「出前館」の存在があるので、昨年7月に実験店舗を開始して今年1月から本格展開となり、あっという間にできてしまいました。

 その他にもECを大きくする課題では、ヤフーショッピングの出店者にLINEの公式アカウントの導入を推進したのも大きい。それまで出店者のCRM(顧客管理)の手段がメールだったので、もう(ヤフーショッピングが始まった1999年から)20年間変わっていなかったけれど、それがLINEになってCRMが一気に進化しました。

出澤剛共同CEO サービス連携の成果としては(LINEの友達にプレゼントが送れる)LINEギフトが(ヤフーショッピングやZOZOの売れ筋を贈答品にできるようになったので)昨年末の商戦期は一昨年末の4倍の取引になりました。LINEギフトって小さなサービスではないので、4倍になったのは大きいでしょう。

――コロナ禍で拡大するECは「2020年代前半に国内EC取扱高ナンバーワン」になるという大きな目標を掲げています。アマゾンジャパンと楽天グループを追い抜く道筋は描けたのでしょうか。