ウクライナ戦争、原油急騰、利上げ懸念……。投資家が立ちすくむような事態が次々と起きても、米著名投資家のケン・フィッシャー氏は、足元の株安が「典型的な相場調整にすぎない」と喝破。むしろ、「さらなる強気相場が先にある」と考える理由を解説する。
強気相場はなお生きている
やがて回復へ向かうだろう
次は何が来るのだろうか。東証株価指数(TOPIX)や世界株の「市場調整」水準への突入は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン後の「強気相場が終焉(しゅうえん)したのではないか」という不安を引き起こす。
ロシアのウクライナ侵攻、サプライチェーン目詰まりの継続、原油価格の急騰、米国の利上げ……。投資家が立ちすくんでしまうような事態の数々だが、決して慌ててはならない。強気相場はなお生きている――そして、やがて回復へと向かっていくだろう。
私には直近の株価下落が、弱気相場の始まりのようには見えない。2020年前半に起きた世界各地のロックダウンに起因する急落はさておき、よく知られているように、弱気相場は「バンッと突然ではなく、すすり泣きで」静かに始まる。そして、駆け込みに来る「大バカ者」を吸い込む。
2022年のグローバルな株式市場の調整は、1月4日の高値から15日間で約10%下落して始まった。加えて言えば、弱気相場の始まり方には2通りある。陶酔的な投資家の高い期待が転じてどのような後退の形でもショックにつながるか、数兆米ドル規模のネガティブなワロップ(大打撃)で皆が驚くかだ。
今はどちらでもない。陶酔的? 確実に違う。2021年の序盤に一部発生したが、すぐに消えた。そして後述するように、ウクライナ戦争というサプライズは、ワロップとはならないだろう。
市場を取り巻くニュースの見出しは現在、ウクライナでの騒乱、インフレ不安、利上げ懸念を喧伝する。戦争は常に、真に悲惨で、高インフレは問題だ、といった具合だ。だが私は、むしろこれらの不安が市場にとって強気要素だと考えている。なぜか。