各国大使館やジャーナリスト
避難民が集まるリビウ

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、各国は大使館を首都キエフから、ポーランド国境に至近のリビウに移転した。避難民もまずリビウを目指し、他国に逃れる。世界中のジャーナリストもリビウを拠点に取材している。毎日ニュースの発信地として登場しているのが、リビウである。

 話を元に戻そう。1871年当時、ウィーン新聞に移っていたカール・メンガーは、価格メカニズムの観察記録を「効用理論」としてまとめ、ウィーン大学のローレンツ・フォン・シュタイン教授へ送った。ハビリタチオン(ドイツ圏教授資格取得試験)のためだ。

 メンガーは見事、翌年7月に審査を通過し、ウィーン大学の講師として赴任。冬学期から講義を開始した。1873年に員外教授に任用され、78年には経済学講座の正教授となった。

 メンガーの論文は『国民経済学原理』にまとめられたのだが、同じ71年にイギリスのウィリアム・ジェボンズ(1835~1882年)が『経済学理論』を、74年と77年にスイスのレオン・ワルラス(1834~1910年)が『純粋経済学要論』を出版し、経済学に「限界革命」と呼ばれる一大旋風を巻き起こした。

「限界効用」や「効用価値説」について説明しておこう。効用とは、人間の主観的な欲望の単位である。財の消費を1単位追加したときの効用の増加分を限界効用という。限界効用はだんだん減っていく。これを「逓減する」といい、この原理を「限界効用逓減の法則」という。