吉林省の大学で集団感染が発生、悲痛な訴えがSNSに……

 わたしが最初に目にしたのは、吉林省の農業大学の学生がネットに書き込んだ訴えだった。「SNSに書き込んでも、学校側がすでに運営会社に手を回し、あえて人目に付かないようにされている」「先生たちに電話で助けを求めても、彼らも右往左往するだけ」「消毒どころか飲み水も不足しており、学校側は『ないものはない』の一点張りだ」「当初看護に当たっていた学生のボランティアグループからも感染者が出て、その数も減ってしまった」「意識がすでにない学生もいる。生理用品もなく、女子学生は血を流しながら痛みに苦しんでいる」「感染した学生がテープで封鎖された部屋に隔離されているが部屋にはトイレがなく、泣いて助けを求める声も響く」「吉林省の疾病コントロールセンターに電話しても、たらい回しにされるだけ」……そして最後にこう訴えていた。

≪敬愛なる党機関よ、共産主義青年団委員会よ、こんな事態を前に我々国民、学生は寒々とした思いだ。党に命を預けたのに、その結果がこれなのか? 善良な人たちよ、お願いだからネット操作なんかしないでほしい。我々学生の我慢はもう限界だ。それでも世論のプラットホームが助けてくれると信じている。一人ひとりの力で、どうぞ僕たち学生を助けてほしい≫

 なんと悲痛な叫びだろう。この書き込みには写真や動画も添えられており、背筋が冷たくなった。

3月10日、吉林省でロックダウン開始

 3月10日、この訴えはやっと功を奏し、大学の党委員会書記が罷免された。報道によると、同日午後には同大学の外には大型バス30台がずらりと並び、濃厚接触者とみられる学生らを運び去ったという。

 同時に吉林省の中心都市、長春市の市長と市衛生健康委員会のトップもすげ替えられた。長春市は9日にコロナ感染事情について記者会見を開いており、累計感染者数31人、無症状感染者数7人と発表していた。だが、その週末にその数は一挙に1400人を突破、週明けの吉林省の感染者数は3000人を突破している。

 吉林省は14日から省全体のロックダウンを開始、省内外の出入りだけではなく省内各都市の移動も厳しく制限している。さらに、内モンゴル自治区、黒竜江省などの近隣地区、および江西省や湖南省などの地域で医療支援隊が組織され、9機の飛行機で医療物資などが長春空港へと送り込まれたとされる。