(1)「部下に振れる仕事」を見極める

 リーダーは、仕事の量をなるべく減らすべきです。

 なぜか。リーダーは、「人を動かす」というのがもっとも重要な仕事であるからです。

 そのためには、リーダーには、常に仕事全体を眺める時間的、精神的「余裕」がなければなりません。先にも述べたように、リーダーは、部下と一緒になって目の前の仕事に忙殺されてはいけないのです。

 自分がやらなくても、部下ができる仕事は捨てて(部下に振って)、なるべく減らしていくこと。リーダーと部下は、役割が違うのです。部下にもやれる仕事にリーダーが時間をかけすぎていては、チーム全体の動きを円滑にするという役割を果たせなくなります。

(2)「作業」をやめて「仕事」をする

 できるリーダーとは、「作業」ではなく、「仕事」をする人です。

「作業」とは、会社で決められている、やらなければならない業務で、「誰がやっても同じ結果が出る仕事」です。

 一方、「仕事」とは、自分にしかできないこと、自分だけがやるべきことです。そしてリーダーは、チーム全体の方針を決定し、目標達成のためにチームのメンバーを効率的、生産的に動かし、結果を出すのが使命(仕事)です。

「作業」は大切ではありますが、リーダーにとっては「仕事」のほうが大切です。目の前にあるのが「作業」か「仕事」かで迷ったら、必ず「作業」を捨てて、あるいは誰かに任せて、「仕事」を選択しなければなりません。

 また、「劣後順位」を決めるためには、仕事全体の流れを把握しながら、「時間軸」も強くイメージすることです。

 これは、いまやるべきことなのか、一週間後でもいいのか、一ヵ月先でもいいのか、といった「時間の幅」をよく見極めることです。

 1週間後や1ヵ月先でもいいのであれば、その仕事は他の人に任せたり、場合によってはアウトソーシングしたりする、という選択肢も見えてきます。「時間の幅」をよく見極めることで、「やらなくてもいいこと」が見えてきます。

 全体最適を考えて「重要度が低い」仕事は切り捨てて、「重要度が高い」仕事に労力も、時間も注ぐのです。