両まぶたが痙攣していると、まばたきがしにくくなって目がゴロゴロする、目が異様に乾く……などドライアイの症状を訴える人も。そのため、ドライアイと勘違いして平松氏の元を訪れ、「眼瞼痙攣」と診断されるケースも少なくないという。

「眼瞼痙攣は眼瞼ミオキミアと違って自然治癒が難しい疾患なので、眼科医や神経内科医による治療が必要です。主な治療法は、ボツリヌス療法(ボトックス注射)。痙攣を起こしているまぶたにボツリヌス毒素製剤を注射し、神経の働きを抑制して筋肉の緊張を緩和します。症状が軽い場合は、内服薬を処方して治療するのが一般的ですね」

 眼瞼痙攣の症状が長引くと、自分の意思でまぶたを開けていられなくなり、人やモノにぶつかりやすくなるなど、生活にも支障が出る。眼瞼痙攣を早期発見し、そうしたリスクを下げるためにも、セルフチェックを行ってほしいと、平松氏はアドバイスを送る。

「まばたきを利用したセルフチェックを行うと、眼瞼ミオキミアか眼瞼痙攣かの判断が可能になります。ひとつは、パチパチパチと速くまばたきを行う『速瞬テスト』。もうひとつは、ゆっくりまぶたをギュッと強く閉じて開けるという動作を繰り返す『強瞬テスト』です。眼瞼ミオキミアならば自分でまぶたの開閉ができますが、眼瞼痙攣は自らの意思でまぶたを動かせません。そのほか『ぽん・ぽこ・ぽん』というリズムに合わせて瞬きをするチェック方法もあります」

 リズミカルなまばたきができるか否かが、判断基準になるという。まぶたに違和感を覚えたら、まずは速瞬テストを試してみよう。

顔面痙攣の場合は
生死にかかわるケースも

 眼瞼ミオキミア、眼瞼痙攣は、ともに命に関わる疾患ではない。しかし、この二つと症状が似ている「顔面痙攣」は、重篤な病が隠れている可能性がある、と平松氏は指摘する。

「顔面の筋肉を動かす顔面神経に異常をきたすと、異常がある側のまぶたの上下がほぼ同時に痙攣し、『顔面痙攣』を発症します。眼瞼痙攣や眼瞼ミオキミアと間違えやすい疾患ですが、それらとは異なり“いつも同じ部位”に表れるのも顔面痙攣の特徴です」