そのほか、口の周りに痙攣の症状が表れるケースもあるそう。顔面痙攣は顔面神経が血管に圧迫されることで発症するが、平松氏は“血管が神経を圧迫している理由”に注意が必要、と指摘する。

「顔面神経がある部位の近くには、脳に血液を送る動脈という太い血管が走っています。この動脈にコブができる“動脈瘤(どうみゃくりゅう)”が生じると、コブが顔面神経を圧迫して、痙攣を引き起こす可能性があるのです。そして動脈瘤が破裂すると、脳出血やくも膜下出血など、生死に関わる疾患を発症します」

 動脈瘤のような血管系の疾患のほか、脳にできた腫瘍が神経を圧迫して顔面痙攣を起こすケースもあるという。

「顔面痙攣も眼瞼痙攣と同じく自然には治りません。片側の上下のまぶたや口周りが、1カ月以上ピクピク動き、顔面痙攣が疑われる場合は、脳神経外科や神経内科を受診しましょう。とくに糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある人は、血管系疾患を発症するリスクが高いので、顔面痙攣が表れた際は早めに検査をして原因を明らかにすると安心です」

 そして、自分では判断できず、原因不明のまぶたの痙攣に悩んでいる人は、眼科や脳神経外科、神経内科のいずれかを受診してほしい、と平松氏。

「たとえ眼瞼ミオキミアであっても、ずっとまぶたがピクピクと動いていれば強いストレスを感じるはず。そのストレスが、別の疾患を招く可能性もあるので、放置するほどさまざまなリスクが上がってしまいます。1カ月間症状が続き、セルフチェックでも判断できない場合でも眼科や神経内科などに行けば、適切な医療機関を紹介してくれるはずです」

 ストレスや睡眠不足など、多くの人々が抱える悩みと密接に関わっている、まぶたの疾患。「いつものことだから」と軽視せず、経過をしっかり見守る必要がありそうだ。

監修/平松類(ひらまつ・るい)
眼科専門医・医学博士。昭和大学医学部卒業後、全国各地の病院に勤務し、彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長を経て、現在は二本松眼科病院で副院長を務める。YouTubeでは「眼科医平松類チャンネル」上にて毎日目の病気に関する情報を発信中。『眼科医だけが知っている一生視力を失わない50の習慣』(SB新書)、『患者が絶えないカリスマ眼科医がやっている 失明しない習慣』(小学館)など、著書多数。