国連安保理の追加制裁は容易ではない。3月25日の国連安保理の緊急会合では追加制裁どころか、これを糾弾する報道声明さえ採択されなかった。中国は「北朝鮮の合理的な憂慮を重視すべき」と主張し、ロシアも「追加制裁は容認しがたいレベルの人道主義的混乱を招く」と主張し、反対した。

 バイデン大統領がロシアに対して行ったように、自由主義陣営国家の連合によって独自制裁を加える方法はある。しかし、北朝鮮には既に最高強度レベルの制裁が加えられているため、各国が追加するのに適当な措置はない。追加するとすれば油類の供給を減らすことだが、現在油類を供給している国は中ロ以外なく、両国が参加しない限り効果はない。

 したがって追加制裁といっても、安保理レベルの現在の制裁を着実に推進し、現在の制裁の弱点を埋めるように取り締まっていく以外ない。

北朝鮮への追加制裁で
中国の協力は期待できない

 国連安保理で、中国はむしろ米国に責任を転嫁した。張軍国連大使は「21年初め、特に5月以降に米朝対話が膠着(こうちゃく)状態に陥り、非核化過程が停滞して朝鮮半島情勢に変数が多くなり、緊張が高まった。中国は、遺憾ながら関連国は『無条件の対話』というだけで、実際の行動を取ることも、北朝鮮の合理的懸念に答えることもなかった」と述べ、北朝鮮を擁護した。

 北朝鮮は今回、22個のタイヤを持つ移動式発射台からICBMを発射した。超大型の多軸トラックやミサイルの燃焼管を製造する炭素繊維、高強度アルミニウムなど核関連の部品はほぼ中国を通じて輸入しているという。中国が核とミサイル関連物資の北朝鮮への流入を約束通り統制していれば、北朝鮮のICBM発射はなかっただろう。中国は北朝鮮と「共犯」だと言わざるを得ない。共犯者の中国が北朝鮮の追加制裁に動くとは考えられない。

 制裁強化によって北朝鮮を翻意させる道が閉ざされれば、北朝鮮に対する防衛体制を強化していく以外にないだろう。

尹錫悦次期大統領の
対北朝鮮安保政策は3軸体制

 次期大統領の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は、文在寅大統領の対北朝鮮姿勢を批判してきた。尹錫悦氏は「私は北朝鮮の好意のことを『平和ショー』とみている」「現政権はそれに没頭しすぎているため、国連の核関連の制裁も先制的に解除すべきだ」と批判してきた。

 尹錫悦氏は、北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射に対して1月17日、フェイスブックに「わが国民を北朝鮮の核とミサイルの脅威から守るために、必要なあらゆる措置を講じる」とし、「何よりも有名無実となった『3軸体制』を早期に回復させ強化する」と約束した。

 韓国国防部は「2018年~22年国防中期計画」で北朝鮮の核・ミサイルに備えるための「韓国型3軸体制」の構築を20年代初めに繰り上げる方針を明らかにした。3軸体制は次の要素からなっている。