ヨガで実現できる
マインドフルネスとは

 マインドフルネスの定義は諸説あるが、「今この瞬間に集中している心の状態、ありのままの自分を受け入れる状態」とされることが多い。

『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(2019年5月号)』に寄稿された説によると、マインドフルネスとは次のような状態を指すという。

「マインドフルネスは、ネガティブな感情を経験した時、頭が混乱して感情にコントロールされてしまう過剰同一化に陥ることなく、感情をありのままに受け入れバランスを取っている状態」(「セルフ・コンパッション:最良の自分であり続ける方法」関西学院大学教授 有光興記著より)

 注目したいのは、過剰同一化に対する効果だ。「過剰」という言葉が示すように、同一化そのものは悪いものではない。心理学における同一化とは、他者の優れているところや憧れを感じるところを自分の人格に重ね合わせることだ。

 たとえば尊敬するアスリートのトレーニングを真似したり、金メダリストの振る舞いを参考にしたりするなど、他者が持つ良い特徴を取り入れることが、同一化に当たる。こうした同一化には、スキルアップや自尊感情の向上など、ポジティブな心理効果が期待されている。

 他者との同一化には、他のメリットもある。ミスをしたときに他人と自分の共通点を見出し、「誰でもミスはするものだ」と心の折り合いをつけやすくなるのも、同一化のメリットだ。

 しかし、過剰な同一化は精神面に悪影響を与えかねない。他者と自分との区別がつかず、周囲のネガティブな感情を自分のものとして認識してしまうからだ。あるいは、「自分が抱いたネガティブな感情は他者から共感してもらえるはずだ」と思い込み、感情のコントロールが効かなくなる。