「たとえば、非常に批判的な上司とプロジェクトを続けなければならないとする。憂鬱な気持ちになり、ストレスが溜まっていくが、発散しようとしても、愚痴りすぎたり、食べすぎたりするなど、自分や他人への八つ当たりのような行動に及んでしまう。こうした強い否定的感情に支配されて混乱した状態を、過剰同一化という」(「セルフ・コンパッション:最良の自分であり続ける方法」関西学院大学教授 有光興記著より)

理想とは正反対の方向へ
過剰同一化の「負の側面」とは

 過剰同一化に陥ると、「自分なんてどうせダメだ」「自分の辛さを誰もわかってくれない」という負のスパイラルにはまってしまう。まさに、マインドフルネスとは正反対の状態だ。

 ストレスフルな勝負の世界で闘うアスリートがヨガを取り入れるのも、感情のコントロール効果に大きなメリットを見出しているからではないだろうか。

 特にヨガの呼吸法は自律神経を整える効果があり、怒りや不安を和らげる。ヨガのポーズは、質の高い呼吸をするための姿勢改善効果も高い。たとえば、猫背の人がヨガをすると丸まっていた背筋が伸び、胸が開いて深呼吸が楽にできるようになる。呼吸によって自律神経が整い、心がリラックスしていくのが感じられるだろう。

 もちろん、ヨガには筋力アップや柔軟性アップなど身体面のメリットもある。それぞれの流派の特徴を知り、自分に合ったヨガを発見するのがおすすめだ。

 ヨガの流派は数多く、それぞれに特徴がある。全ての流派を説明するのは難しいため、日本で親しまれている流派を一部紹介する。

 歴史が古く、現代でもたくさんの人が実践しているのは「ハタ・ヨガ」だ。ハタ・ヨガでは呼吸法とポーズを中心としてヨガを行う。ヨガの主流ともいえる流派であり、ハタ・ヨガのレッスンを提供しているヨガ教室は多い。