リスキリングを成功させたい日本企業が陥りがちな「三つの落とし穴」Photo:PIXTA

大手企業を中心に、「リスキリング」の取り組みを強化する企業が増えています。DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、仕事が大きく変わり、求められるスキルにも変化が生じています。企業の将来のためにも、従業員のリスキリングが欠かせないのです。しかし、取り組みがなかなか成果につながらない「落とし穴」も潜んでいます。リスキリングを成功させるポイントとは何か、解説します。(リクルートワークス研究所 石川ルチア)

1000人以上の大企業のうち
約半数がリスキリングを実施

 世界経済フォーラムが“リスキリング革命“を発表し、「2030年までに、世界の10億人の人々がより良い教育とスキル、仕事を得られるようにする」という目標を掲げてから2年が経過し、日本でも、大手企業を中心にリスキリングの取り組みが始まっています。リクルートが行った調査では、2021年度、従業員数1000人以上の企業におけるリスキリング実施率は52.1%に上りました。

 リスキリングとは、デジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業に就くためのスキル習得のことです。企業の目線に立てば、「デジタル技術を使いながら価値創造できるよう、従業員の能力やスキルを再開発すること」と言い換えられます。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増える中、リスキリングを行う企業も増えていくでしょう。しかし、そのときに企業が陥りがちな「落とし穴」がいくつかあります。本稿では、これからリスキリングに取り組む企業が避けるべき三つの落とし穴について説明します。