上海疾病コントロールセンターへ怒りの電話をかけたところ……

 そうこうするうち、その「官僚ぶり」を裏付けるような現実がネットを通じて人々の元に届けられた。

 それは電話でのやりとりの録音だった。ある男性が怒りもあらわに、上海疾病コントロールセンターに電話するところから始まる。「上海疾病コントロールセンターですね?」「はい……」電話の向こうは、いかにも覇気のない女性の声。男性は「聞きたいのだけれども」と告げて、事情を話し始める。

 彼の両親は、まず母親が骨折して入院。その際、同室の患者に陽性反応が出て、母親は濃厚接触者とみなされ、入院していた病院から政府が感染者向けに準備した野戦病院に移された。その後PCR検査の結果、陰性となり病院に戻った。だが、彼の父親はその母親の接触者(「濃厚」ではないらしい)とされて指定ホテルでの待機を命じられ、2回のPCR検査が実施された。最後の検査はこの電話の2日前で、スマホのアプリに表示される検査結果もその日の夕方に「陰性」のままだったので、自宅に戻った。

 しかしその後、男性がこの電話をかけた日に、上海疾病コントロールセンターから直接父親に、「2日前の結果で陽性が出た。これから救急車が向かうので、そのまま隔離施設に向かってもらう」と連絡があったという。

 録音では電話の相手はここで、「上司につなぎます」と別の女性に電話をつないだ。男性は怒りにまかせて、「一体、我々はアプリ(「健康雲」と呼ばれる)と疾病センターのどちらを信じればいいんだ?さっきの電話はニセモノじゃないと、どうすれば分かるんだ?一体、誰がどうやって陽性か陰性を判定してるんだ?僕たち市民がその正式な結果証明を手に入れることはできないのか?」と矢継ぎ早に質問した。