ディーゼル燃料を使い切ることは
環境にとってもプラスと断言

 廣瀬一郎専務執行役員は報道陣との意見交換の場で「カーボンニュートラルの実現に向けて、電動化はもちろんのこと、国や地域の市場性を考慮し、ディーゼルエンジン含めた内燃機関の環境性能を限界まで引き上げることはマツダとして必然だ」としてマツダの企業精神を貫く姿勢を強調した。

 とはいえ、先進国ではディーゼルエンジンに対する逆風が吹いているのが現実だ。

 時代を振り返ってみると、ディーゼル乗用車は90年代から10年代にかけて欧州市場の主力モデルとしてメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなどが主力エンジンの一つに位置付けてきた。

 ところが、10年代半ばに発覚した、いわゆるディーゼルゲートにてディーゼルエンジンのイメージは失墜した。ディーゼルゲートとは、フォルクスワーゲングループなど欧米メーカーがディーゼルエンジンの環境規制に対するソフトウエア不正が発覚し、ディーゼルエンジンの商品イメージが大きく傷いた事案を指す。

 その反動で、フォルクスワーゲングループは事業のV字回復を狙い一気にBEV(電気自動車)シフトにかじを切った。それが、欧州委員会(EC)によるグリーンディール政策による「2035年までに欧州域内での新車は事実上、BEVまたはFCV(燃料電池車)にする」という厳しい環境規制につながっていく。

 それでも、マツダのエンジン開発を統括する中井英二執行役員は「3.3リッターディーゼルエンジンは欧州市場にも導入する」と言い切る。そして「原油の生成物(原油を精製する過程で一定程度は生産されることになる燃料)としてみれば、ディーゼル燃料をしっかり使うこともカーボンニュートラルにつながる」との見解を示した。

マツダ「CX-60」リアビュー「CX-60」プロトタイプを斜め後方から見て Photo by Kenji Momota

 正式発表を前に、報道陣向けの試乗会がマツダ美祢自動車試験場(山口県美祢市)で実施された。

 ピットロードには内装と外装をカモフラージュした、左ハンドルの海外市場向け「CX-60」プロトタイプが並ぶ。

 ボディ寸法は、全長4742mm×全幅1890mm×全高1691mm、ホイールベースは2870mmで、一目でマツダ車と分かるデザインテイストを感じる(日本仕様は、全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mm)。

 用意されたパワートレインは2種類。

 2.5リッター直列4気筒エンジンのPHEVと、3.3リッター直列6気筒ディーゼルエンジンの48Vマイルドハイブリッド車で、ともにAWD(四輪駆動車)である。