年度末には、いずれも正式な開業日は未発表だが、福岡市地下鉄七隈線の天神南~博多間、東急新横浜線日吉~新横浜間、相鉄新横浜線新横浜~羽沢横浜国大間、宇都宮ライトレール宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地間の開業が予定されている。

 今回はこの中から、今後の鉄道業界に影響を及ぼしそうな西九州新幹線と宇都宮ライトレールの事例、それに加えて2023年3月を予定している東急電鉄の値上げについて考えてみたい。

西九州新幹線を巡る
沿線自治体の期待と不安

 西九州新幹線と言ってもピンと来ない人も多いかもしれない。構想段階では一般的に「長崎新幹線」と呼ばれていたこの路線は、1973年に整備計画が決定したいわゆる「整備新幹線」の一つだ。オイルショックや国鉄経営悪化で長く凍結状態にあったが、2000年代に入って構想が具体化し、2008年に武雄温泉~諫早間で、2012年に諫早~長崎間で着工した。

 既存の路線を延伸する形で建設するのではなく、それと接続しない末端区間が独立して開業する珍しい形態だが、博多~鹿児島中央間を結ぶ九州新幹線でも、2004年3月にまず新八代~鹿児島中央間、2011年3月に残る新八代~博多間を開業させて全通した事例がある。

 西九州新幹線も本来は博多〜武雄温泉間に新幹線を整備(博多~新鳥栖間は九州新幹線と共用)する構想だった。ただ新八代~鹿児島中央間開業時に博多~新八代間を着工済みだった九州新幹線とは異なり、今回の武雄温泉~長崎間は「先行開業」ではなく、現時点では新鳥栖~武雄温泉間を整備する計画は存在しないという違いがある。

 離れ小島の西九州新幹線は、在来線博多~武雄温泉間を走行する「リレー特急」から、武雄温泉駅で同一ホーム発着の新幹線に乗り換える、九州新幹線の先行開業時と同様の運行形態で開業する。これまで直通だったのが乗り換えを要するようにはなるが、博多~長崎間は約30分短縮の約1時間20分で結ぶことになる。