「あなたはどう思う?」で主体性を引き出そうとする上司の致命的な勘違い写真はイメージです Photo:PIXTA

部下自身に考えてもらおうと、あえて自分の考えを言わずに、「あなたはどう思う?」と問いかける――このような上司の話をよく聞きます。しかし、いくらそう問いかけても、部下がなかなか自分で考えて行動するようにはなってくれないと頭を抱える上司は少なくありません。この問題は、人材育成に関する上司側の「ある勘違い」が引き起こしていると言えます。(アークス&コーチング代表 櫻田 毅)

部下がなかなか自分で
動いてくれないワケ

 多くの上司が、部下の考えを引き出すマネジメントに取り組んでいます。一方的に自分の考えを言ってしまうと、部下は自分で考えなくなり、上司の指示を待つだけの依存型の人になってしまう。だから、「あなたはどう思う?」と質問することで、自分で考えることができる人へと成長してもらおうというのです。

 しかし、指示を求めてきた部下に、「あなたはどう思う?」と問いかけて自分で考えてもらうようにしていても、翌日にはまた、「どうしたらいいですか?」と聞いてくる。いつまでたっても、自分で考えようとしてくれない……。こう嘆く上司の話もたくさん聞きます。部下に自分で考えるように促しているにもかかわらず、なぜこのようなことが起きるのでしょうか? 

 その最大の原因は、上司がその問いかけの目的を「勘違い」していることです。