日本人は「なぜセブンイレブンは」
「なぜトヨタは」話が好き!?

伊賀泰代氏
1993~2010年末までマッキンゼー・アンド・カンパニー、ジャパンにて、コンサルタントおよび、人材育成、採用マネージャーを務める。現在は、キャリアインタビューサイト MY CHOICEを運営、リーダーシップ教育やキャリア形成に関する啓蒙活動に従事する、キャリア形成コンサルタント。

為末 分析の仕方が全然違うんですよね。ちなみに、速さの秘密は下腿の長さと細さにあります。末端、つまりふくらはぎが細いと負担が少ないんです。

  日本人はふくらはぎが太いので、短距離ではあまり良い記録は出ませんが、何万回と繰り返す長距離だと細さは弱さになり短所になり得る。となると日本人は長距離向きの足を持っているとも言えます。

  イギリスの番組では、ケニア人と白人との比較もしていて。人種に合った走り方っていうのがあるんです。変えられない先天的なものがある以上、そこを知った上で戦うことが必要だという分析ですね。

  日本の番組は、見る側としてはとても魅力的なんですけど、「分析」という意味では残念ながら役には立たない。「○○さんは、こんなに凄い人だったんだ」で終わっちゃうんです。

伊賀 それは示唆に富む話ですね。日本の経営学では、「なぜセブンイレブンは成功したのか」「トヨタはなぜ世界で成功したのか」というように、成功した「1社」をクローズアップして研究することが多いのに対し、欧米では、1社の分析ではなく、強い会社とはどういう会社なのか、仮説を立てて、サンプル100社を分析し、相関する要素を見つけるために調査して統計を取ることが主流なんです。

為末 なるほど、興味深いですね。ご指摘どおり、天才の研究って「例外の研究」なんですよ。そういう選手を解析しても、ビジネスの世界で言うと、なんでスティーブ・ジョブズは凄いのかっていうのを解析しても、じゃあ自分たちはどうしたらいいのかってなりますからね。