世界で進む公益事業の「再公営化」、国家と個人の“嫉妬”が経営リスクになる理由Photo:PIXTA

盛んだった公益事業の民営化
今では再公営化が進展する事態

 我が国では1980年代の中曽根政権以降、公益事業の民営化が盛んになった。当時強い影響力を持ったサッチャー英首相、レーガン米大統領らの政策が背景にある。

 古くは、国有鉄道や電電公社が民営化され、株式上場を果たした。最近でも、関西国際空港の運営権が民間企業に売却されるなど、民営化路線は広がりと定着を見せている。

 米国の経済学者フリードマンらが提唱した「公益事業の民営化は、業務効率の改善につながる」という思想は、新自由主義という呼称とともに、多くの先進国で広く受容された。

 しかし、現在、この民営化の動きにブレーキがかかっている。ブレーキがかかっただけでなく、全く反対の公営化・再公営化さえ進展している。

 参考書として、岸本聡子氏の『水道、再び公営化!欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書)を紹介したい。同著では、世界の水道事業の再公営化が詳述されている。