化粧品や医療品関連からも
問い合わせ、注文が増加

ガレージで生まれたパーツフィーダが日本のものづくりを変えていく画面で実動作を確認しながら、最適な条件を探ることが可能。パーツテストにも無料で対応

 ではあらためて、「SVFシリーズ」ならではの特長はどこにあるのか。

 一つ目がロボットピッキングに必要な機能が1台に集約されていること。パーツをストックするホッパー、フィードテーブル、部品を反転させるためのフリップ、画像センサーによる認識率を向上させるためのバイブレーション(ばらし機能)を搭載。追加設備不要で作業できる。

 二つ目にパーツの種類によってフィードテーブルを交換する際もワンタッチで交換が可能なこと。三つ目にはタッチパネルで直感的操作ができること。プログラム登録も本体上で完了し、「専門知識がなくても、プログラムを呼び出すだけで誰でも操作が可能です」(勇樹氏)。この操作性は世界でも類を見ないという。

ガレージで生まれたパーツフィーダが日本のものづくりを変えていく開発の場となったガレージ。同社はSDGs推進にも注力。県のSDGsパートナーにも登録
●株式会社鈴野製作所 事業内容/ビジョンピッキングフィーダの製造・販売、従業員数/6人、所在地/神奈川県秦野市曽屋2-6-14、電話/0463-79-5580、UR/suzuno-ss.co.jp

 発売から約1年で「既に引き合いが80社ほど来ており、受注件数の伸びも順調です」と鈴野社長。工業部品以外に、化粧品や医療品関連、さらに海外企業からの問い合わせ、受注も増加。「検品用に部品をばらすためのテーブルだけ欲しい、サイズのバージョンが欲しいといったニーズにも対応しています」(鈴野社長)。

 中小メーカーでは自動化の余裕はないといった声もあるが、「人口減少の加速化を見据え、日本のものづくりを支える中小企業こそが単純作業の自動化に向けて一歩踏み出し、働く環境の変革にも取り組んでいただければと考えています」と勇樹氏。小さなガレージから生まれた同製品が日本のものづくりをどう変えていくか。今後の展開にも期待したい。

(「しんきん経営情報」2022年5月号掲載、協力/中栄信用金庫