初任給を手にした新社会人も多いだろう。あれこれと夢が膨らむかもしれないが、生活が大きく変わる今こそ、「お金の使い方」には十分に注意しておきたい。中にはお金の管理ができずに入社早々、借金をしてしまう人も……。反対に、新入社員の時期に「着実に貯まるお金の使い方」を身に付けていれば、将来お金が貯まりやすくなる。絶対にやってはいけないお金の使い方と、着実に貯めるコツを解説する。(ファイナンシャルプランナー 坂本綾子)
新社会人の息子が消費者金融で借金!?
新入社員が知っておきたい「お金の基本」
初々しいスーツ姿の新入社員が目に付く季節になると思い出す話がある。知り合いの息子さんが、就職して数カ月もたたないうちに消費者金融からお金を借りてしまったのだ。
知り合いはとてもお金にしっかりした人で、毎日家計簿を付けて1円たりとも無駄にせず、たくさんのお金を貯めていたから、「なぜその息子さんが?」と疑問に思ったものだ。しかし話を聞いて納得した。
学生時代は実家暮らしだった息子さん。学費や定期代は親が払っていたから自分でお金を使うのは友達と遊びに出かけるときくらいで、そのときも親から小遣いをもらっていた。その際、無駄遣いが嫌いな私の知り合いは、「今日は誰とどこに行くの?」と聞いて、それなら交通費が○○円、ご飯を食べて○○円……と計算してお金を渡していたという。息子さんはそのお金をきれいに使い切って帰宅していたとか。
そんな息子さんが就職し、部屋を借りて一人暮らしをすることになった。「もう社会人なんだから今日から自立してね」と送り出され、初めて自分の給料で生活費をやりくりすることに。
営業職で外回りが多く、食事はほぼ外食の生活だった。就職時に親にそろえてもらったスーツや靴は連日の着用でヨレヨレ、かかともすり減ってしまったという。新しいスーツや靴を買いたいがお金が足りない。社会人だから親に甘えずに自分でなんとかしなければ……と、消費者金融からお金を借り、返済が滞ったことで親の知るところになったというわけだ。
就職して最初の半年は、特に一人暮らしの人にとって、お金の使い方に戸惑う時期だ。ただ、この期間にお金の使い方を試行錯誤し、着実に貯める「お金の管理方法」を若いうちから知っておくことは非常に重要だ。
そのためにはお金の使い方の基本を理解し、無駄遣いを防ぐコツを押さえ、無理なく貯められる習慣を身に付けることが重要だ。やりがちな「貯まらない失敗例」も交えて、ポイントを解説していこう。