そう考えると、一見華やかな4Kテレビだが、現時点ではおそらく絞り込まれた需要を見越した生産となるのだろう。すなわち、規模全体は小さいものの、確実に高い付加価値を獲得できる市場に向けて、カスタムメイド的に生産を行うということだ。

 確かに、経営が傾いているテレビメーカー各社としては、このアプローチで製品開発の未来に向けた連鎖をつなぎ止めるとともに、少しでも現在価値を獲得するという意味において、妥当な手だてではある。より明確にいえば、テレビそのものを生産することで得られる付加価値の獲得には、その手しか残っていなかったとさえも言える。

スマートテレビの本質が問われる

 昨年あれだけ喧伝されたスマートテレビだが、今年は各社とも扱いを小さくしている。

日本のテレビメーカーが意外や過去数年で一番元気!?<br />米国の好景気を背景に4Kテレビが賑わいを見せる<br />――ラスベガスCES会場から占う2013年【前編】ソニーブースでもスマートテレビは小さな扱い Photo by Tatsuya Kurosaka

 前述したサムスンは、昨年はブースのあちこちでスマートテレビのデモを行っていたのに対し、今年はかなり縮小した印象である。またソニーなどは、もはやほんの一区画程度、といった扱いだ。

 理由はいくつかある。まずは当然ながら、商売として成立しなかった、ということ。サムスンなどは、高価格帯の製品には標準でスマートテレビ機能を搭載していることから、必ずしも出荷が低迷したとまでは言えない。ただ、スマートテレビ機能をメーカーが期待するように使いこなす消費者は、世界的にみてまだ少なかった。

 実際私も、先進国をはじめインドなどの新興国での販売・利用状況を調べたが、ゲームをバンドルしないと機能として評価されない等、率直に言って低調そのものだった。Google TVを中心に、結局その意義や価値が、消費者に訴求できなかったということである。

 また、GoogleTVが実現しようとしていたスマートテレビの世界観は、CATVのセットトップボックスの高機能化やゲームコンソールによって、事実上すでに市場が支配されていた、ということも大きい。

 特に後者については、マイクロソフトのXbox360が世界市場ではデファクトとなっており、この端末を利用したビデオ・オン・デマンドやネットサービスが広がりつつある。このことは、2012年9月にオランダで開催されたIBC(国際放送カンファレンス)でも多くの事業者から指摘されていた。欧州のとある有名サービスプロバイダーの責任者が、「GoogleTVがXboxに勝てる余地はゼロだ」とまで言い切っていたのを、よく覚えている。