日用品大手・花王の一部製品が首都圏地盤のスーパーマーケット・オーケーの店頭から、「仕入れ価格値上げの申し入れ」を理由に撤去された。原材料価格やエネルギー価格などが高騰し、インフレ懸念がある今日でも、「小売りの安売り体質」は変わらない。この体質を許した“犯人”は一体誰なのか。(流通ジャーナリスト 森山真二)
オーケーが花王製品を売り場追放
両者のバトルに冷ややかな声も?
「花王、花王グループカスタマーマーケティングより、大幅な仕入れ価格値上げの申し入れがありました。これに伴い、1月31日(月)より以下の対応を取らせていただきます」
肌寒い2月上旬、首都圏にあるスーパーマーケット・オーケー店舗の日用品売り場には、こうした告知文が掲げられ、続けて「花王の製品145品目を販売中止する」という趣旨の記載があった。
つまり、オーケーは値上げ要求をしてきた花王の一部製品を、“売り場追放”すると宣言。業界関係者の間では話題となった。
目下、世の中では「値上げ」の大合唱だ。原材料価格やエネルギー価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻、そして円安。メーカーによる値上げの理由は一言で片づけられるものではない。
また、近年は小売りの再編が進み、バイイングパワー(仕入れ力)が強まったことで、メーカーにとって値上げを行いにくい環境でもあった。それゆえ、「今がチャンス」とばかりに各社値上げへと動いている。
オーケー店頭からの花王製品の撤去は、消費者にどのように映ったのか。安売り反対派は「メーカー(花王)がかわいそうだ」というし、安売り賛成派は「よくぞオーケーは花王に物申した」と称賛する。
同時に、「オーケーは撤去という強硬策までしなくてもよかったのではないか」「花王はオーケーに妥協案を提案すべきではなかったのか」など、両者の争いを冷ややかな目で見る者もいるだろう。
なぜ、両者はここまでして意地のぶつかり合いを繰り広げたのか。