マネジメント改善のために
中間管理職ができること

 コロナ禍におけるマネジメントの問題を解決するためには、先述のハード、ソフトの改善に加えて、抜本的な組織改革が不可欠だ。だが、経営層の説得には時間を要する。そこで現状で可能な対策についても聞いた。

「まず前提として、継続的に経営層に理解してもらう努力を続けましょう。その上で、システムが変わらないうちは、自分自身のマインドを変えましょう。まずは、部下を“信頼”してください。『あなたになら、この案件を任せても大丈夫』という気持ちで相手に接すると、たとえ顔が見えなくても信頼関係が築けます。互いに信頼していれば細かな確認が不要になり、本人のモチベーションも上がるので、業務がスムーズに進むケースも多いです」

 そして、個人の業務が順調ならばその方法を続けてもらい、滞っているなら改善策を話し合う。部下の仕事の進め方を自分の型にはめるのではなく、あくまで“把握”を心がけるとあつれきが生まれにくくなるという。また、文字でのやりとりも工夫次第で快適になる、と荻島氏。

「メンバー間のチャットは、なるべくカジュアルな言葉を使うように提案するといいでしょう。上司である中間管理職が、軽い口調でチャットを送り、たとえば文末に『!』を使うだけでも、部下も気軽に返信できるようになるはずです。文面の表現に悩む時間が減るので、コミュニケーションコストの削減にもつながります」

 チャットは“ゆるく使う”のがコツとのこと。以前よりもマネジメントが難しくなったと感じている人は、トライしてみる価値がありそうだ。

「上司と部下に挟まれて業務も増えているなかで、中間管理職のみなさんはかなり踏ん張って働いています。ただ、チーム内だけで生産性を上げるのは限界があるので、経営層に現場の声を届け、現場のメンバーが働きやすくパフォーマンスを発揮できる環境を作るために、ハード、ソフトの改善を図るのも中間管理職の重要な仕事です。コロナ禍で得たさまざまな“気づき”をムダにせず、組織の改革につなげてほしいですね」

 一人一人が快適に働き、生産性を上げるには何が必要なのか。自社の働き方改革の扉を開くのは、中間管理職の人々なのかもしれない。

荻島将平
株式会社チームスピリット戦略企画室コーポレートコミュニケーションチームマネージャーエバンジェリスト。三井住友銀行に入行後、広報部を経験。その後、法人営業部・本部にて法人向け経営コンサルティング業務に従事。現職では多くの大企業へのTeamSpirit導入経験を生かし「自分らしく楽しく働いて、成果を出す」世界の実現を目指して、各種講演で登壇し発信している。