ルールは書き換えられるし
書き換えないと社会が動かない

松田氏と安宅氏Photo by Teppei Hori

安宅 そう思います。何だろう、高校だと遅い気がしますね。いわゆる進学校だと大学へ行くことを、農業や工業の高校であればその分野の就職について考えている。高校はもう次のトラックがある程度、決まってしまっている。なので、道を決める前が望ましいですね。

松田 頭が固くなり始める前ですよね。自分たちで道をつくれるんだ、ルールをつくれるんだ、ということを若者が理解しないと、未来は変わらない。

安宅 今、世の中にあるルールは、あくまで決めごとにすぎないんだということを、早い段階でしっかりと理解してもらう必要がある。

松田 そうですね。法律だって変えることもできる。

安宅 自分が中学生の時をふり返ってみると、「法律というものはすでに決まってるのに、国会は一体、何の審議をやっているだ」と、ずっと不思議に思っていました(笑)。実はあれ、ルールを変えていっているわけですよね。日々、皆で審議しながら、書き換えていっている。

松田 1年間で何十本も法案や改正案を出して。

安宅 ルールは書き換えられるし、書き換えているし、書き換えないと社会が動かない。法律を考えるということは、国のシステムを考えるということなんですね。そうした基本を、本来は教育によって理解してもらうべきなんです。

 先ほどのフランチャイズの話につながると思うのですが、我々は、組み上げられた巨大なシステムをもう一度、ゼロベースで組み上げることへの自信がない。何かひとつでも入れ替えるとその瞬間に崩れるのでは、という不安がある。

松田 新たな環境や課題に対応するための、国家モデルの再設計が急務ですね。私たちが、産・学・メディアなどの枠を超えて、民間の臨調(審議会)として政策提言を行う「モデルチェンジ日本」を立ち上げた理由でもあります。

 そこでこの対談の最後のテーマとして、「モデルチェンジ日本」の最初の提言でもある、日本の「GX」(グリーントランスフォーメーション)について、お話をできればと思います。

>>対談その4(近日公開予定)へ続く