自己肯定感が低いことを悩んでいる人は非常に多く、「こうすれば自己肯定感が高まる」と説く本が人気だ。中には、一瞬で自己肯定感が高まる方法があるとして、自己暗示のかけ方を教えるものまである。しかし、本当にそれで自己肯定感が高まるのだろうか。今回は、自己肯定感とはどのようにして高まっていくのかについて考えてみたい。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)
自己暗示で自己肯定感を高めようとしても本当の自信にはならない
自己肯定感を高めようといって、そのコツを伝授する類いの本が書店にたくさん並んでいる。この類いの本が、こんなに出版され、店頭にたくさん並んでいるということは、それだけ需要があるわけだ。それは、自己肯定感を何としても高めないといけないと思い込まされている人が多いこと、しかも自分は自己肯定感が高くないので何とかしないとまずいと思い込まされている人が多いことを意味する。
その類いのノウハウの中には、「自分はできる」「自分はすごい」「今のままの自分で十分だ」と自己暗示をかけようというようなものもある。自己肯定できるように自己暗示をかけようというわけだ。
確かに自己暗示は一時的には有効かもしれない。でも、自己暗示で高められた自己肯定感というのは、上辺だけの張り子の自己肯定感にすぎない。何の経験の裏付けもない自己肯定感は、そう長続きしないし、いざというときに力になってくれない。逆境では、すぐに崩れてしまうような脆い自己肯定感だと言わざるを得ない。
あくまでも自己肯定感というのは経験に裏打ちされたものであり、自然に身に付くものであって、小手先のテクニックで手に入るようなものではない。では、どうしたらいいのだろうか。