もし、故人が契約していた定額制サービスを
解約することになったら

ネットで故人の声を聴け 死にゆく人々の本音『ネットで故人の声を聴け 死にゆく人々の本音』(光文社新書)
古田雄介 著
税込1232円

 以上を踏まえて、遺族の立場から、故人が残した定額制サービスの契約はどうしたらいいのか対応を考えたい。

 理想を言えば、すべての定額制サービスを個別に調べて、それぞれに沿った形で解約や引き継ぎを進めていくのが安全だ。しかし、あまたのサブスクや定額制サービスを利用している人の全契約を正確につかむのは難しいだろう。Apple IDやGoogleアカウント、通信キャリアの月額支払いにまとめられたサブスクなどは、お金の流れからたどっても個別に探すのは至難の業だ。それぞれの契約に気付けたとしても、故人のアカウント名を突き止め、解約の窓口をそれぞれ調べて、それぞれに必要な書類をそろえるとなると相当骨が折れる。

 正直、定額制サービスの提供元が求める手続きのすべてを遺族が完遂するのは不可能だと思う。だとすれば、現実との折衷案を組み立てるしかないだろう。

(1)通常の遺品整理の過程で特定できた定額制サービスは、個別に解約や名義変更などの手続きをする。
(2)その上で、口座の凍結やカードの退会を済ませる。
(3)その後にさまざまな形で請求が届くことを想定し、1~2年程度はアクションがあるたびに個別に支払いや解約などを進める心構えだけしておく。

故人の定額制サービスの請求構造故人の定額制サービスの請求構造 拡大画像表示

 2022年6月時点では、この3段構えの対策が現実的ではないかと思う。