伊藤園のお茶のペットボトルの場合、定番の『おーいお茶』の他に、『ほうじ茶』や『濃い味』のような味が異なる商品、『秋旬茶』や『氷冷茶』のような季節商品を随時、商品ラインナップに過去に投入してきた。このような新商品は、定番商品と棚に並べて販売され、消費者の目をとらえ、この新商品自体を販売するというよりは、その横に置いてあるだろう定番商品を売るための商品であると解釈できる。店舗側にとっても、伊藤園の商品の中で組み合わせを頻繁に変えることにより、棚の印象の新鮮さを保つことができる。

 マーケティング・サイエンスの分野では、衝動買い商品については、棚フェーシング(陳列商品と最前列の商品数を決めること)を2倍にすると売上高が30%増加するという実証研究がある。つまり、メーカー側にとっては、自社商品に割り当てられる棚フェーシングの増加が売り上げの増加に直結する。定番商品のまわりに、最適な多様性を持つラインナップを適時提供することによって、伊藤園は、棚確保に成功し続けてきたといえる。

 このように、お茶のペットボトルの販売という事業プロセスは、消費者のコンビニエンス(便宜)に対する欲求に答える形で、コンビニは、コスト最適化された事業プロセスを追求し、メーカーサイドは、棚確保競争に勝つ事業プロセスを整備した中で進化してきたと解釈できる。つまり、コストと便宜のバランスの追求の中で、事業戦略が醸成されてきたと言える。

茶の葉の量り売り

 原発が爆発して、全部止まってみて、電気の消費ということに注意を払うようになると、24時間稼働している冷蔵庫兼湯沸かし器である清涼飲料の自販機や、24時間営業しているコンビニなどが気になる。原発はスイッチを頻繁に入れたり切ったりできないので、余った夜間電力を利用してもらうという意味で、自販機とコンビニの進展を下支えしてきたことになる。

 一方、ゴミの分別が推進されて、ペットボトルの廃棄、リサイクルが気になる。温暖化が叫ばれている中で、水を水道管でなくて、トラックで運ぶことの余分な燃料コストとCO2排出量はどの程度のものなのか。こういうことを気にしている消費者は増加しつつあると思う。特に、先進諸国においてそうであろう。