多くの国々がインフレ・値上げに苦しみ始め、「利上げラッシュ」の様相を呈している。その中でも日本銀行は大規模な金融緩和の継続を表明。長期金利を0.25%以下に抑えつけ、事実上の“固定相場制”に留め置く方針だ。世界各国の金利上昇幅と比較すれば、その異様さは際立つ。日銀がどれだけの窮地に立たされているのかを分析する。(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
日銀総裁「家計の値上げ許容度」発言への
反発かのような激安店の盛況ぶり
激安スーパーマーケットとしてメディアに頻繁に登場する東京都練馬区の「アキダイ」へ、この間の週末に行ってみた。野菜・果物など生鮮食品が特に充実していて、少しでも安い品を求める消費者で大混雑していた。同じ日にやはり激安で知られるオーケーストアの店舗も覗いてみた。こちらも大勢の客でごった返していた。
あたかも先日の黒田東彦・日本銀行総裁の炎上発言「家計の値上げ許容度が上がっている」に消費者が反発して、安い店に一層シフトしているような印象さえ受けた。
インフレの進行とともに消費者が安い店に流れていく傾向は、実は欧米ですでに顕著となっている。そして、そうした状況を受けて欧米の中央銀行は利上げラッシュに転じている。
それにもかかわらず、日銀は金融緩和継続の方針を表明。10年金利を上限の0.25%に抑えつけ、事実上の“固定相場制”を続けていくという。その異様さは世界各国の金利上昇幅と比較すれば一目瞭然だ。
日銀がどれだけの窮地に立たされているのかを分析していこう。