無駄に長い入院日数、過剰な病床数……日本から「赤字病院」が一向に減らないワケPhoto:PIXTA

現在、日本は「医療先進国」だと言われている。しかし、その裏にある「多額の医療費」の存在を忘れてはならない。医師・医学博士の奥真也氏は、著書『医療貧国ニッポン』の中で、日本は医療費の公費負担割合が非常に高い一方、患者自身の負担額は少ないため、「安くて手厚い医療が当たり前」という意識から抜け出せず、将来的な医療費の増大に歯止めがかからない。この状況が続けば、医療費で国が破綻する「医療貧国」になってしまう、と警告する。本記事では、そんな日本の医療費増大の大きな要因である「入院日数の長さ」「病床の多さ」、さらには「乱立する赤字病院」という大問題に迫る。
※本記事は奥真也著『医療貧国ニッポン』(PHP研究所)の一部を抜粋・再編集しています。

日本の入院数は長すぎる!?
その背景とは

 日本の医療費増大に直結する問題はいくつかありますが、その1つが「入院日数の長さ」です。海外と比べてみると、日本は驚くほど長いことがわかります。

 OECD加盟国の急性期医療の平均在院日数を見ると、ドイツ8.9日、フランス8.8日、イギリス6.9日、アメリカ6.1日、それに対して日本は16.0日と突出して入院期間が長いのです。アメリカだったら手術して3日後には退院するような病気でも、日本は7、8日後の退院になります。

 しかし、これでも日本は以前に比べて入院期間がかなり短縮されるようになったのです。日本の診療報酬の支払い方式は、以前は入院も外来もすべて「出来高払い制」でした。医療行為をすればするほど診療報酬が増えるため、入院期間が必要以上に長くなりやすかったのです。