「中間層の回復なくしてホテル業界復活はない」ホテル運営大手のトップが断言オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ

コロナ禍における行動制限が解け、夏の繁忙期に向けて気合を入れているホテル業界。「都道府県民割」などの宿泊業支援策もある中、経営状況は好転しているのか。オリエンタルホテルをはじめ、ヒルトンやホリデイ・インなどのグローバルブランドも含めて国内22ホテル、約6700室を運営するホテル経営会社である、ホテルマネージメントジャパンの荒木潤一代表取締役に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

GWのホテル業績は予想を上回る
一方で都市部は価格競争も

――今春以降、ホテルの経営状況は上向いていますか?また、夏に向けた見通しで変わってきている点はありますか?

 今年のゴールデンウィークは久しぶりに行動制限がない状況で、ホテルのパフォーマンス結果は予想よりよかったですね。ただ、ホテルによってかなりばらつきが出ているのも事実。グループで全22ホテルありますが、お客さんの層は多岐にわたっていて、例えば大阪・難波にあるホテルは、(コロナ禍になる前)外国人がほぼ100%だったわけです。

 そうした、もともとインバウンド比率が高いホテルと、逆に日本人比率が高いホテルがある中で、予想よりよかったのが、神戸や奈良。知名度のあるレジャー型ホテルです。そこは、売り上げが2019年度対比で8割ぐらいまで戻ってきています。

 しかし、大阪や京都はインバウンド比率が高かったので事情が異なります。国内需要が戻ってきても、単価もそれほど取れないし、稼働率も50%程度にとどまっている厳しい状況です。

 やっぱり本格的な回復には、外国人旅行者が戻ってくることが不可欠ですね。供給と需要のバランスが取れないと、厳しい。

 客室だけでなくレストランの需要を考えても、ウイークデーはどうやって埋めるのか。以前は修学旅行だったり一般宴会だったり、いわゆる企業のインセンティブ旅行だったりがありました。そして、外国人旅行者は曜日が関係ないですから、それでウイークデーと週末がバランスよく稼働していましたが、そうしたセグメントの需要が欠けたままです。週末はかなり回復していますが、平日はまだまだ厳しいので、価格競争が起きています。