厳しかった都市部にも
いよいよ宿泊客が戻ってきた!?
全国的な行動制限の緩和でいよいよ人々が動き出す様子が見られるようになってきた。コロナ禍以降、ホテル業界は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって大量の予約キャンセルに振り回されてきたが、本格的な「Withコロナ」期への突入の感もあって先行きに光が差し始めている。
下の図は観光庁による全国の宿泊施設の利用者数をグラフ化したものだ。2020年5月はマイナス82.6%(対19年同月比)にまで大きく落ち込み、その後はコロナ感染者数の増減に振り回されながら徐々に回復している。特に、第5波の影響で落ち込んだ21年9月を境に急回復し、12月はマイナス17.2%(同)、日本人だけに限ればプラス1.9%(同)と、なんとコロナ禍前を上回る数値となったのだ。
ただし、そうした回復度合いはエリアによって偏りが見られた。箱根や熱海、軽井沢、日光など首都圏からほど近いリゾートエリアはにぎわっていたが、都心部のホテルの様子は全く異なっていた。
それが、22年3月以降は確実に好転し、都心部のホテルの収益も改善傾向にある(詳細は後述)。さらに、7月前半からは「県民割」が全国に拡大する見込み。宿泊だけでなく交通費も割り引きされるようになり、いよいよ全国的に旅行機運が高まっている。
ホテル業界に希望の光が見える一方、課題も山積している。インバウンドが大きな鍵を握ることは間違いないが、ポストコロナを見据えると、ますます深刻化する課題もある。業界は単なる「Revival」(復活)ではなく、「Reborn」(生まれ変わり)が求められると、筆者は考える。次ページからはホテル業界が抱える「4大課題」について、詳しく述べていく。