新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大借金を抱える旅館・ホテル事業者が続出。帝国データバンクによると、一定の施設数がある都道府県のうち、月商に対する有利子負債の割合が50倍を超える都道府県は三つ。その一つが観光人気エリアの北海道で、経営危険度ランキング3位になった。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#7では、全国の旅館・ホテル事業者の「借金状況」を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
「ゼロゼロ融資」の返済が始まり
ホテル売却、倒産、廃業の波
西武ホールディングスや近鉄グループホールディングスなど大手電鉄でホテル売却が相次いでいるが、「中堅どころのホテルや旅館で売却が増えるのはこれから」とホテル業界に詳しい沢柳知彦・立教大学観光学部特任教授は言う。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で資金繰りが苦しい中小企業に実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」の返済がいよいよ本格的に始まってくるからだ。
金融機関の中には膨れに膨らんだ事業者に対する債権の回収に向けて、社内プロジェクトチームを立ち上げたところもあるもよう。旅館・ホテル事業者の“過剰債務体質”をけん制する動きだ。
帝国データバンクは月商に対する有利子負債の割合(有利子負債月商倍率)を本店または主たる営業所がある事業所ベースで調査しており、同社によると、全国平均は2019年度が13.2倍だったのに対し、20年度24.4倍、21年度34.7倍と悪化している。
施設の売却はもちろん、倒産や自主廃業の大きな波がやって来る可能性が高い。
そこでダイヤモンド編集部は旅館業(ホテルを含む)施設数トップ10の都道府県に注目し、帝国データバンクが調査した21年度の有利子負債月商倍率を指標にした「都道府県のホテル経営危険度ランキング」を作成した。
ランキングのトップ3は21年度の有利子負債月商倍率がなんと50倍を超えた。このうち3位は観光人気エリアである北海道だ。