バイデン氏に欠ける通商政策Photo:The Washington Post/gettyimages

 ジョー・バイデン米大統領がついに、一部の中国製品に対する関税を緩和するかもしれないとの情報がホワイトハウスから漏れている。政権発足から「わずか」18カ月でのことだ。バイデン氏は決断を引き延ばしたことで、他国が新たな貿易協定を推進するのと対照的に、自分には基本的に通商政策が欠けていることを明らかにする形となった。

 政治的に分析すれば、バイデン氏の対中政策は貿易に対する考え方がまひしていることを示している。2020年の大統領選の選挙戦中、ドナルド・トランプ前大統領が導入した対中関税を維持するかとの質問に対し、バイデン氏は「ノーだ。おいおい、トランプ氏の考えが良いと誰が言ったのか」と答えていた。関税は米国の製造業や農業に悪影響を及ぼしたと同氏は述べていたが、就任後はそれに対応する行動を起こしていない。

 対中関税は中国に政策変更を促すための戦略的なテコとなるはずだったが、多くの場合、米国の農家、消費者、企業に打撃を与えてきた。国際金融協会(IIF)によれば、米国の関税とそれを受けた中国の報復関税により、米国民は2018年だけで約400億ドル(約5兆4000億円)の負担を強いられた。また、中国政府の2021年の米産品の購入拡大幅は約束した額を860億ドル下回った。