米国のバイデン大統領Photo:Chip Somodevilla/gettyimages

普遍的価値の“押し付け”
世界の分断を進める懸念

 ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアや海洋進出を加速させる中国を念頭に、バイデン大統領が事あるごとに強調するのが、「民主主義と専制主義の戦い」という構図だ。

 もともと大統領選の際にも「民主主義サミット」開催などを公約で掲げたが、その後もバイデン政権の対外政策の基調を専制主義との戦いに求め、さまざまな外交の場でキャンペーンを張っている。

 米国は従来民主主義や人権といった価値を重視し、普遍的価値を守り普及させる外交を追求してきたことは確かだし、日本にとっても普遍的価値は致命的に重要だ。

 だが問題はこれを他国に押し付けることができるかどうかだ。

 米国も民主主義国が連帯して専制主義国を追い詰め、民主化することができると考えているわけではないだろう。むしろ対決をあおるだけの結果となり、世界の分断を進めることにならないか。

 “バイデン大統領の戦い”にどこまで付き合うのか、日本にとっても注意が必要だ。