「海外で広がるフェムテックブームに、日本は後れを取っている状況でした。2000年から生理管理アプリ『ルナルナ』は登場していたものの、そのほかでフェムテック関連のメジャーな企業はほとんどなく、2~3年前からベンチャー企業が中心になって動き始めました」

「フェムテック元年」と呼ばれる2020年は、日本のジェンダーギャップ指数の低さや生理の貧困といったテーマが注目されたことも、フェムテックの普及に影響したという。

 また同年は、自民党の野田聖子議員がフェムテック振興議連を立ち上げており、「フェムテックについて国会議員が動いたのは大きな出来事でした」と山田氏は言う。

「2021年には、伊勢丹や銀座三越がフェムテック専門店のポップアップストアを誘致したり、ユニクロやGUからは生理用吸水ショーツが販売されるなど、大企業にもフェムテックの波が広がり、新語・流行語大賞にノミネートされるほど認知度が上がりました。今年も、イオンモールがイオンレイクタウン内にフェムテック専門店を常設で開店する(2022年8月末まで)など、フェムテックの盛り上がりは続いています」

 フェムテックの広がりには、コロナ禍の影響もあるという。

「実は、日本でフェムテックが広がったタイミングと、新型コロナの流行の時期はぴったり重なります。これは、ステイホームの風潮が広がって医療機関を利用しづらくなり、自分でセルフケアしてみようという意識が芽生えたからだと思われます。また、家にいる時間が長くなり、フェムテック商品を自宅で試しやすくなった要因もあります。特に月経用カップや吸収ショーツは、初めて試すときはやはり不安があるもの。毎日会社に出勤していると、使用を先延ばしにしてしまう女性も多かったんです」