トンデモ人事Photo:PIXTA

「なぜ」を繰り返し、5W1Hで真の原因を追究しよう、とよく言われる。ただ、これは自問自答する場合には役立つが、面談で使ってしまうと、メンバーを巻き込めないどころか、抵抗感を与えてしまう可能性がある。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

「なぜ」を繰り返すリーダーが
成功しないワケ

「なぜ」「なぜ」を繰り返して、真の原因を追究する手法がある。予期せぬ問題が発生した場合に、それがなぜ起きてしまったのかという原因を見極めることを繰り返し、その原因をもたらした元となるトリガーに行き着くことを目指す。なぜを5回繰り返すという意味で、5Whysと呼ばれることもある。

「なぜ」ばかりでなく、いつ(Where)、どこで(Where)、誰が(Where)、何を(What)、どのように(How)発生させてしまったのか、5W1Hの問い掛けをして掘り下げていく方法もある。

 いずれも、拙速を防ぎ、思い込みによる間違った行動を回避し、対応の精度を上げる。5Whysや5W1Hで自問自答することは、真の原因追究に確かに役立つ。

 ところが、これらの手法をメンバーに対して繰り出した途端に、悲劇が起こる。メンバーは躊躇し、発言を拒む。抵抗感を与え、距離を置かれてしまい、ひいてはリーダーとメンバーとの間に壁ができてしまうことがよくある。チームのためを思った行動が、ゆくゆくは組織を崩壊させかねない。

「なぜ」「なぜ」を繰り返すリーダーは、結局成功できない。これには、理由がある。