フェムテックの認知度が
いまだに低い理由

 コロナ禍を経て、日本でのフェムテック市場の裾野は着実に広がった。だが、2021年12月に宝島社が行ったフェムテックに関する調査では、「フェムテック」の意味を理解している人はわずか3%だった。なぜこのようなギャップが生じてしまうのか。

「女性のメンタルヘルスに関するサービスや商品の利用者は増えているものの、それをフェムテックの一貫と認識している人が少ないのではないでしょうか。『フェムテック』はもともと、ビジネスの場で用いるために生まれた言葉なので、消費者には『月経管理アプリ』などの具体的なサービス名のほうが先に届いているんです。また、サービスの存在は知っていても実際に試せていない女性も多いと思います。より身近なものとして認識する消費者が増えれば、今年から来年にかけて普及が進むと考えています」

 米コンサルティング会社のフロスト&サリバンの調査によれば、世界のフェムテック市場の規模は2025年に5兆円規模にまで成長する見込みだという。この流れは日本にも伝わり、フェムテックの関心度はさらに高まると予想される。

 とはいえ、月経は古くから女性特有の生理現象だったことに変わりない。なぜ今まで、女性特有の健康問題への意識が低かったのだろう。

「歴史的に、『生理=汚れているもの』という意識が定着していたんです。男性は生理の女性を避け、女性も生理に関する悩みは隠すべきものと考えてきました。昔は妊活や更年期について相談する機会もなかったはずです。しかし、栄養不足のため初潮が遅く、出産回数が多かった時代の女性と比べて、今の女性の生涯月経回数は約450回も増えたといわれています。女性の身体の事情が変わったのならば、生理の捉え方も変化していくべきでしょう」