積極投資を進めてきた2カ年の中期経営計画がまもなく終了する。その手応えと来期から始まる新中期経営計画について聞いた。

Photo by Toshiaki Usami

──資源価格の下落で、商社は戦略変更を余儀なくされている。今後はどんな投資戦略を描くのか。

 資源をこぞって買う時代はもう過ぎ去った。今はそれ以外の分野、具体的には食料、繊維、生活資材といった生活消費関連に経営資源をシフトさせている。

 そうした戦略が奏功し、2012年3月期は生活消費関連の利益が全体を押し上げ、純利益で商社3位になった。資源価格の高騰だけで潤う時代が終わった今、各社が非資源分野に手を伸ばしているが、実績のある当社でしか手がけられない案件に、積極的に挑戦していく。

 昨年末、1350億円で決めた米食品大手ドールの、世界の缶詰・果汁飲料事業とアジアでの青果事業の買収は、まさにその好例。今後は、こうした分野にも、繊維部門で培ってきたブランドビジネスのノウハウを移植していきたい。

 例えば、日本の質の高い生鮮食料品を、世界中で親しまれている“ドールブランド”でくくり、付加価値をつけて海外で売る。食料戦略でいえば、バリューチェーンの川下を攻めることで、川上に対する影響力を強めるつもりだ。

 ドールの案件は、年に約100億円の純利益の押し上げ要因となり、近いうちに食料部門だけで500億円を稼ぐことができるようになる予定だ。こうした計画を着実に実行し、非資源分野からの利益で商社トップになることを目標としている。

──この2年間で1兆円近い投資を行ってきたが、来期から始まる新中期経営計画ではどうするのか。

 この2年は、稼ぐ体制への土俵を確保するという意味で、資源への投資も推し進めてきたが、今後は縮小する。