かつてカルロス・ゴーン元会長時代に、ルノーによる経営統合の動きが顕著になるなど「日産支配」を強めようとするような動きがあった。

 しかし、RAMAの内容は非公表で、一般株主など利害関係者に伏せられている。このため、「ルノーとのアライアンスにおいて日産とルノーが対等な立場にあらず、日産の一般株主が経済的に不利益を被っていると推察される事象が存在するが、RAMAが公開されその内容の是非が株主間で広く議論に付されていないこともこのような不平等なアライアンスの状況が改善されない原因の一つであると考えられる」として、RAMAの全面開示に向けた定款変更(「その他の関係会社」であるルノーを「親会社」とみなしてRAMAを開示対象としようとする内容)を求める株主提案があり議題に上ったのだ。この提案が提出されるのは、昨年の株主総会に続いて2年連続だ。

 昨年の総会では、日産はこの議案を取締役会で全面的に反対、拒否した。だが、今回は定款規定を設けることは反対としたものの、「契約上の守秘義務に抵触しない範囲で情報開示する」として6月末に有価証券報告書に初めてRAMAの一部内容を開示した。

 有価証券報告書では「経営上の重要な契約等」の項目として、AEPA~RAMAの経緯、株式取得制限、ルノーによる日産の取締役候補者指名、ルノー・日産会社の主旨と経営委託契約の満了などがそれぞれ記載された。

 日産は開示した理由について、ガバナンス改善及び透明性の向上の観点から検討した結果とするが、その背景にはルノーとの関係を取り巻く環境の変化もあろう。